【舞いあがれ!】町工場フェスタで渥美准教授が果たした役割は?彼なしでイベントは成立しなかった!

 その役割は単なる案内役に留まらなかったようだ。

 2月24日放送のNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第101回では、ヒロインの梅津舞(福原遥)が音頭を取った「東大阪町工場フェスタ」が開催。多くの参加者を集めて大成功に終わっていた。その陰で浪花大学の渥美准教授(松尾鯉太郎)が大きな役割を果たしていたという。

 町工場の騒音問題を解決するため、地域住民との相互理解を図る目的で開催された「東大阪町工場フェスタ」。その実現には東大阪市役所のモノづくり支援室に勤める安川龍平(駿河太郎)が協力し、安川は都市ブランディングを専門とする渥美准教授を担ぎ出していた。

 渥美は人力飛行機サークルの「なにわバードマン」で舞の1年先輩。安川は7学年上の伝説的な先輩ということで、3人のスクラムはガッチリだ。町工場フェスタでは7カ所で行われた工場見学がどこも満員。模型飛行機作りも盛況だった。

 ただイベント中に渥美は、ものづくり体験の会場前で案内役を行っていただけ。大学の准教授ともあろう人物が、イベントの成功にどう貢献したのかが分からなかった視聴者も多かったことだろう。

「お疲れ会では『浪花大学としては継続したいと思っております』と元気よく宣言していた渥美。ただ彼がやったことは案内役のほか、自分のゼミからゼミ生を連れてきたことだけであり、無償ボランティアとして体よく使われたようにも見えます。これでは大学のゼミが休日返上で運営に参加する意義がまったく見えてこないのです」(週刊誌記者)

 そこで「渥美が参加した意味」という視点であらためて、この町工場フェスタを眺めてみたい。そうすると、おそらく渥美が関わったと思える要素が見つかるのである。

 一つは模型飛行機の作り方を教える説明書だ。全部で48の工程が写真付きで説明され、一つの作業ごとに「操作パネルの完成です」などと完成写真も用意されており、子供でも理解しやすいように工夫されている。

 この説明書をふだんはねじや金属加工といった「部品」のみを製造している町工場の職人が作るのは至難の技。それゆえ渥美ゼミのゼミ生が手掛けた可能性が高そうだ。

 それに加え「私たちが作りました!」と題されたパネルにも、高いデザイン性が見て取れた。7工場の代表者の写真が並ぶなか、株式会社IWAKURA社長の岩倉めぐみ(永作博美)を中心に、両側に並ぶ代表者がめぐみを紹介するようなポーズを取っており、最終的なデザインを意識して撮影していたことは明らか。これも渥美ゼミで制作したものではないだろうか。

ホワイトボードに張られている説明書はかなり工夫されたものだった。トップ画像ともに©NHK

「イベントの制作には部品の製造とはまったく違ったノウハウが必要。渥美ゼミなら都市ブランディングの一環として、パネルなどの制作にも慣れているはずです。さらにはイベント参加者の動線や居場所の選定も、渥美ゼミならこなせるはず。パッと見では分かりませんが、実際は渥美ゼミの協力なくして、このイベントは成立しなかったのではないでしょうか」(前出・週刊誌記者)

 一般参加者を対象としたイベントは通常、専門の制作会社に発注するもの。大企業なら宣伝部などが担当するケースもあるが、町工場には宣伝広報の専門スタッフがいるはずもなく、今回の町工場フェスタでも営業担当の舞が音頭を取っていた。それゆえ渥美ゼミの果たした役割は相当に大きかったはずだ。

 一方で渥美ゼミとしては、東大阪市という町工場の街が地元住民との相互理解を進めることで、「工場と住民が同居する街」という都市ブランディングを実践することができる。これは学生にとって貴重なフィールドワークになることは確実だろう。

 表面上は、ヒロイン舞の発案を周りが助けたという安易な成功譚にも見えかねない「東大阪町工場フェスタ」。だがその裏には渥美と舞の先輩後輩関係や、街と大学の協業など、様々なテーマが隠されていたのではないだろうか。