家族の在り方に、疑問符が突きつけられていたようだ。
2月24日のNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第101回では、本編終了後に次週予告を放送。そこで映し出された光景に視聴者が驚きつつ、呆れ果てているという。
次週予告ではお好み焼きうめづの女将・雪乃(くわばたりえ)が、ヒロインの梅津舞(福原遥)に「えっ、舞ちゃん起業すんの!?」と驚くシーンが。どうやら舞は、家業である部品工場の株式会社IWAKURAからの独立を画策するようだ。
別の場面には舞が「町工場と人を繋げたい」とつぶやく声が。工場と製品のイラストを描いたイメージ図が映し出され、そこには「各工場と連携して商品を開発、販売会社に」とのコピーが踊っていた。
「東大阪市の町工場は年々数が減っており、後継者不足や経営難による廃業が続出。東大阪愛にあふれる舞は危機感を抱き、工場直販の製品を扱う事業を始めたいのかもしれません。作中の2015年にはすでにネット通販も一般化しており、店舗を持たずに直販を手掛けるメーカーも増加。舞のアイデアは決して荒唐無稽ではなさそうです」(週刊誌記者)
とはいえ町工場では消費者向けの最終製品を作った経験がなく、販売会社を立ち上げるのも容易ではない。舞からの相談を受けた兄の悠人(横山裕)が「どうやって利益出すつもりや?」との疑問を呈したのも当然だろう。
次週予告の最後には、岩倉家にて悠人が「俺やったらこの事業に投資すんの、躊躇するわ」と断言していた。もとは著名投資家ゆえ、その判断には相応の裏付けがあるはず。一方で視聴者のほうはこの場面に大きな違和感を抱いていたのである。
「この期に及んでまだ兄の悠人に出資を仰ぐのかと、多くの視聴者が驚き、呆れていたのです。常に家族から愛され、多大な支援を受けてきた舞に対し、悠人は常に家族から放っておかれつつ、東大に現役合格したり投資家として成功するなど、自力で道を切り拓いてきました。しかも実家の工場が倒産寸前になった際には、土地と建物を買い取るという多額の資金援助をしたことも。その悠人にまたもや無心しようというのですから、舞の調子よさはもはや底抜けレベルですね」(前出・週刊誌記者)
そもそも「町工場の街」の活性化が目的であれば、第101回でオープンファクトリーが成功していた時のように、市役所の協力を仰ぐのが先だろう。資金面の話なら、普段から付き合いのある信用金庫に相談するのが筋というものだ。
ただ、舞の起業はおそらく「ジャストアイデア」に過ぎない段階であり、金融機関に融資を依頼できるほどの詳細な事業計画書など存在しなそう。悠人に見せたイメージ図もおおざっぱな概要にすぎず、これで融資や起業を検討すること自体、時期尚早に過ぎるというものだ。
「それでも舞としては、悠人が土地や建物をポンと買ってくれた経験から、今回もポンと資金援助してくれると思っているのかもしれません。そもそも自分の結婚式にさえちゃんと招待していなかったのに、金を借りたい時にだけ自宅に呼びつけるというのはあまりにも虫が良すぎるというもの。しかもそこに新聞記者の御園純(山口紗弥加)を同席させるという無神経さには開いた口が広がりません」(前出・週刊誌記者)
御園は大手新聞社である毎報新聞社の社会部記者。悠人がインサイダー取引で懲役3年の実刑判決を受けていることも当然、知っているはずだ。つまり舞は、執行猶予中の兄から資金援助を受けようとする姿を、全国紙の記者に見せていたのである。
そんな兄から資金援助を受けた日には、ネットで炎上するのは確実。誰でも簡単に想像できるようなそんな事態を、この「舞いあがれ!」ではあえて無視するのか。どうやら本作では世間をにぎわせた経済事件すらも、出番を終えた登場人物さながらに「倉庫入り」する運命なのかもしれない。