【カムカムエヴリバディ】視聴者から「ひなたロス」の声が沸き起こっていた!?

 この気持ち、共有できる視聴者も多いのではないだろうか。

 2月10日放送のNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第71話では、前回まで小学5年生だったヒロインの大月ひなたが高校3年生へと成長。それに伴ってひなた役も新津ちせから川栄李奈にバトンタッチされていた。

 高三になったばかりのひなたは将来の進路に悩み、呆然とした面持ちで太秦映画村に足を運ぶことに。この場面ではナレーションがひなたの気持ちについて「辛い時や悲しい時、落ち込んだ時、なんとなく不安な時、ここにくるとなんだか心が落ち着くのです」と説明していた。

 小学生当時を思い出しながら、子どもたちとチャンバラに興じるひなた。斬られ役となったのは子どもたちへの心遣いか、それとも暗い気持ちの表れなのか。高三女子がおもちゃの刀を構える姿はなんともユーモラスだったが、この場面に思わず涙する視聴者もいたというのだ。

「ひなたの心情に自分を重ね合わせた視聴者もいたことでしょう。その一方で、この場面に小学生当時のひなた(新津ちせ)が回想シーンで登場したことにより『ひなたロス』に襲われた視聴者も少なくなかったようです」(女性誌ライター)

 ただ、ひなた本人は変わらずヒロインで居続けている。そうなると「ひなたロス」を感じる視聴者は一体、何を“ロス”したというのだろうか。

「視聴者が喪失感を抱いているのは“小学生のひなた”です。子どもを持つ人は『小さいころは可愛かったなあ』という感慨を抱きがち。それは決して成長した子どもが可愛くなくなったという意味ではなく、幼児なら幼児、小学生なら小学生なりにその時々の可愛らしさがあり、決して戻ってくることのない“子供の可愛らしさ”への郷愁なのです。とくに『ひなた編』では、それを強く感じさせるストーリーになっていました」(前出・女性誌ライター)

小さいひなたと大きいひなたがそろい踏み! 新津ちせの演じる小学生のひなたは子どもらしさ満点だった。ドラマ「カムカムエヴリバディ」公式ツイッター(@asadora_bk_nhk)より。

 祖母の安子がヒロインだった「安子編」では、安子が幼少期の場面はごく短かったもの。安子編の後半には幼少時の母親・るいが登場しており、出番はけっこう多かったのだが、その姿は小学校入学までの幼児期のみだった。

「安子やるいが乳幼児期しか描かれなかったのに対して、『ひなた編』では小学生のひなたが大活躍。親に甘えたり反抗したり、友人たちと遊んだりと、小学生の日常がたっぷりと描かれていました。その場面を親世代の視聴者はもちろん、子育てを終えた高齢層の視聴者も目を細めて楽しんでいたのです。それが2月10日放送の第71話からはひなたが高三へと成長しており、子どもらしさは激減。これにより視聴者から《小学生のひなた、可愛かったなあ》という声があがるのも無理はないでしょう」(前出・女性誌ライター)

 小学生のひなたを演じていた新津ちせは作中のひなたと同い年の11歳で、まさに等身大の役を務めていた。だからこそ新津が演じるひなたにはリアリティがこもっていたのである。

 それに対して高三のひなた役を務める川栄李奈は26歳。おそらく今後、成長していく姿を演じていくものと思われる。そうなると作中のひなたが26歳を迎えたあたりで、親世代の視聴者から<ウチの娘にそっくり!>といった声が出たりするのかもしれない。