阿佐ヶ谷姉妹、街から一歩も出ないロケ番組に地元民が抱く不安と期待!

 いくら知名度が高まってきたとはいえ、この街だけで本当に番組が成り立つのか。地元民からは心配と期待の声があがっているようだ。

 4月7日深夜にスタートした新番組の「阿佐ヶ谷ワイド!!」(テレビ朝日系)は、人気お笑いコンビの阿佐ヶ谷姉妹にとって初めてとなる冠レギュラー番組。その内容は二人が東京・杉並区の阿佐ヶ谷から一歩も出ず、阿佐ヶ谷の皆さんとお送りする地域密着バラエティという触れ込みだ。

 阿佐ヶ谷姉妹には、不定期で放送中のトークバラエティ番組「阿佐ヶ谷アパートメント」や、昨年11~12月に放送されたドラマ「阿佐ヶ谷姉妹の のほほんふたり暮らし」(いずれもNHK)など、ほかにも阿佐ヶ谷の地名を冠した番組がある。だが前者はスタジオ内のセットで撮影され、後者は阿佐ヶ谷を含む各地でロケ撮影したもの。阿佐ヶ谷から出ないという今回の番組コンセプトが、相当斬新なことは間違いないだろう。

「今でこそ阿佐ヶ谷姉妹の活躍で全国に名前が知れ渡った阿佐ヶ谷。著名なサブカル街の高円寺に隣接し、芸人や劇団員が数多く住んでいることから、閑静な住宅街のわりにはやたらと知名度が高いことは確実です。文学ファンには井伏鱒二を筆頭に数十人もの文士や芸術家が集った昭和初期の“阿佐ヶ谷文士村”としてもおなじみでしょう。とは言え同じような規模の街は東京に限らず日本中にたくさんありますし、その街から出ないというコンセプトで番組が続くものなのか、当の阿佐ヶ谷住民が一番心配しています」(杉並区在住ライター)

阿佐ヶ谷駅南口のロケで番組はスタートした。「阿佐ヶ谷ワイド!!」公式ツイッター(@asagayawide)より。

 第1回はJR阿佐ヶ谷駅の南口ロータリーからスタート。阿佐ヶ谷姉妹の背景に見えているマクドナルドは、ダンディ坂野が長年働いていたことでも知られるスポットだ。ここで二人が向かったのは、建久元年(1190年)の創建と伝えられる阿佐ヶ谷神明宮だった。

 旧阿佐ヶ谷村の鎮守でもある神明宮はいわば、阿佐ヶ谷の重心と言えるスポット。そこで阿佐ヶ谷姉妹は番組成功を願って御祈祷を受け、宮司に番組のロゴを書いてもらったのだった。

「第1回で神明宮を訪れたのは納得ですが、見方を変えれば初っ端からボスキャラが出てきたようなものであり、果たして第2回以降はどんなスポットを案内するのか、心配になってきます。情報番組の街ロケで数百回以上は紹介されてきた街なので、絵になるスポットは無数にあるものの、それこそ《前に別の番組で見た》のオンパレードになりかねない懸念も感じます」(前出・杉並区在住ライター)

神明宮にて御祈祷を受けた阿佐ヶ谷姉妹の二人。阿佐ヶ谷住民には同じ経験を持つ人も多い。「阿佐ヶ谷ワイド!!」公式ツイッター(@asagayawide)より。

 ただ阿佐ヶ谷は4万3000人もの人口を抱え、ちょっとした地方都市並みの規模となっている。その広さも南北で2キロ弱、東西で1.4キロほどあり、1日で回り切るのはなかなか厳しい範囲に広がっているのである。

 そのど真ん中にはJR中央線が東西に横切り、南北には中杉通りという街道が貫いていることもあって、線路や中杉通りをまたいだ反対側に行く機会は少ないという地元民も少なくない。それこそ「高円寺や荻窪にはしょっちゅう行くけど、北側の早稲田通り側には行ったことがない」といった例も珍しくないのである。

「それに加えて地元に長年住んでいる阿佐ヶ谷姉妹の冠番組ですから、これまでテレビで紹介されたことのないようなスポットを取り上げてくれるのではと、地元民も期待しているようです。この番組が成功すれば、それこそ東京中、日本中のあらゆる街が冠番組の候補地となる可能性も膨らむというもの。その意味で『阿佐ヶ谷ワイド!!』が持つ実験的要素には、テレビ業界全体が注目しているのではないでしょうか」(前出・杉並区在住ライター)

 果たして第2回ではどんなスポットを紹介してくれるのか。地元民も楽しみに待っているに違いないだろう。