どうやら最初に「ナポリタン」を作ったのは正解だったようだ。
5月19日放送のNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」第29回では、沖縄から上京してきたヒロインの比嘉暢子(黒島結菜)が、レストランの採用試験に合格する様子が描かれた。
銀座のイタリア料理店「アッラ・フォンターナ」を訪れた暢子。オーナーの大城房子(原田美枝子)が課した料理作りの試験に一度は不合格となったものの、再チャンスを与えられた彼女は午後のまかない用に父親直伝の沖縄そばを作ったのであった。
まず麺打ちから始めた暢子は「小麦粉、あとかん水の代わりに重曹を入れたからもう大丈夫のはず」と、自分に言い聞かせるように手順を確認。時間が気になったのか掛け時計を見上げ、「残り40分くらい。麺を切り終えたら茹でてざるに上げて、油をまぶしておく」と、沖縄そば独特の麺づくりを再確認していた。
そしていよいよまかないの時間となり、完成した沖縄そばを配膳する暢子。大城オーナーが「この麺は?」と訊ねると、二ツ橋シェフ(髙嶋政伸)が「ご自分で作られました」と説明し、オーナーは驚きの表情を見せていた。
「沖縄そばに必須と言える三枚肉の代わりに、暢子はコックからもらったパンチェッタを利用。生ベーコンとも呼ばれるパンチェッタは豚バラ肉を塩漬けしたもので、それを塩抜きすれば三枚肉の代用となるわけです。出汁には厨房にあったカツオとまかない用の豚くず肉を使ったようで、仕上げにイタリアンパセリらしき香草を載せたのは、麺と豚肉だけでは彩りが寂しいからという配慮かもしれません」(女性誌ライター)
沖縄そばを食べた従業員たちは口々に「美味しい!」と絶賛。二ッ森シェフから、ちょうど一人増やしてもいいかなと相談していたところとの口添えもあり、大城オーナーは「いいでしょう。働いてもらいます」と即断即決していた。
亡き父親の賢三(大森南朋)から教わった沖縄そばのおかげで、東京での道が拓けた暢子。終盤では県人会会長の平良三線が三線を弾く姿に賢三を重ね合わせる場面もあり、視聴者も涙を誘われていたようだ。
そして今回、暢子が最初に課せられた料理作りの試験ではなく、二回目の再試験で沖縄そばを作ったことが、合格の決め手となったとの指摘もあるという。それは制限時間に理由があるのというのだ
「最初の試験では1時間の制限時間が与えられていました。その時に沖縄そばを作っていたら、生地を寝かせる時間をとることができず、麺がボソボソになっていたはず。それが再試験では午後3時からのまかないに間に合えばよかったので、30分~1時間は必要とされる寝かせの時間を取ることができたわけです。1回目にナポリタンを作った時はおそらく乾麺のパスタを茹でたので、寝かせの時間は必要なかったのでしょう」(前出・女性誌ライター)
賢三からそば作りを教わった時には、生地を寝かせるタイミングについても教えてもらっていたはず。寝かせている最中に出汁作りに取り掛かれるので、再試験がまかない飯作りだったのは時間的に最も都合が良かったことだろう。
これで無事に料理人への第一歩を踏み出すことができた暢子。おそらくは下っ端のコックとして当面はまかない作りを担当することになりそうだが、そこでフーチャンプルーなどの得意料理を披露してくれるのかもしれない。